頭痛
headache
頭痛とは

頭痛は、くも膜下出血や脳卒中、脳腫瘍、髄膜炎、脳炎など脳や頭部の病気の症状として出てくる頭痛(二次性頭痛)と、他に病気がなく、頭痛(発作)を繰り返す慢性頭痛症(一次性頭痛)に大別されます。頭痛を主訴に来院された患者さんに対して次のように考え、診療しています。
命に関わる頭痛の可能性をチェックする(二次性頭痛の鑑別)
くも膜下出血などの脳卒中、脳腫瘍などは命に関わるだけでなく、治療が遅れると後遺症を残す可能性もあります。神経学的診察に加え、脳MRI、MRAを行い、診断します。
二次性頭痛が否定的であれば、一次性頭痛として診断、治療
多くの場合、一次性頭痛の原因として、片頭痛、緊張性頭痛、ストレス、環境要因が考えられます。女性の場合、月経周期に一致した頭痛、更年期障害に伴う頭痛もあります。お薬の治療と、生活上の注意点を指導します。特殊なケースとして、薬剤乱用頭痛も鑑別する必要がありますので、詳細な服薬歴を参考にします。患者さんによっては漢方薬を使うことも考慮します。
頭痛の解説
一次性頭痛のうち、頻度の多いのは緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛です。
緊張型頭痛
原因としては肩凝り、首凝りが多いですが、凝りを自覚していない患者さんもいます。
症状は後頭部や、前頭部の重だるい、締め付けられるような痛みで疲れてくる夕方に症状が出ることが多いです。
睡眠をよくとって疲れをいやし、首、肩の運動をして血行を良くしましょう。日本頭痛学会では頭痛体操を紹介しています。
お薬の治療では消炎鎮痛剤、筋弛緩剤などの服用を行います。
パソコンを長時間使っている時などは、30-60分ごとに休憩を入れ、首、肩の体操、マッサージなどを行うと効果的です。また、軽い有酸素運動や入浴は頭痛改善に効果的です。
片頭痛
20-40代の女性に多く、月経周期に一致して頭痛が起こることもあります。
多くは、ズキンズキンとした痛みですが、締め付けられるような痛みのこともあります。
吐き気を伴い、歩行や階段昇降などの振動で頭痛が悪化し、光や音に過敏になり、暗い部屋でじっとしていたくなります。
片頭痛には前兆を伴うこともあり、目がちかちかしたり、視界が暗くなったりすることがあります(閃輝暗点)。
お薬はトリプタン系薬剤、ジダン系薬剤、消炎鎮痛剤を使用します。また、片頭痛予防薬使用することもあります。
頭痛時は冷たいタオルなどで額やこめかみを冷やすと効果的です。
群発頭痛
男性に多いのが特徴です。
1-2年に一度、1か月くらい、毎日一定の時間(夜中に多い)に片方の目をえぐられるような激しい痛みが生じ、転げ回るような激しさです。目の充血、涙、鼻汁、鼻閉等の症状を伴います。
治療としては高濃度酸素の吸入、スマトリプタンの自己注射や内服を行います。ほかに高濃度酸素の吸入、ステロイド薬、血管拡張薬の内服、抗うつ薬の内服を行うこともあります。
スマトリプタンの自己注射の指導を行っております。群発頭痛は在宅酸素療法の適応もあり、当院で酸素装置のレンタルの手配ができますので、ご相談ください。
片頭痛の新しい注射薬(CGRP関連抗体薬)について:
片頭痛予防の注射薬として、エムガルディ®、アジョビ®、アイモビーグ®が一般診療で使えるようになりました。適応は、月に5日以上の片頭痛のある慢性片頭痛で、非薬物療法や、急性期薬物治療、予防薬で片頭痛発作のコントロールが不良な患者です。1か月ごとに1本ずつ皮下注射を行います。
薬剤乱用頭痛について:
月の半分以上頭痛に悩まされていて、頭痛薬を月に10日以上飲んでいると、薬剤乱用頭痛に陥ることがあります。頭痛への不安から早めに薬を飲むようになると、薬を飲む回数が増え、痛みに敏感になる(頭痛閾値の低下)ため、さらに頭痛薬を飲む頻度が増えていく、という悪循環になってしまいます。
原因薬剤の使用を減らし、頭痛予防薬の他、頭痛体操、十分な睡眠を指導します。
頭痛予防薬には、血管拡張薬、交感神経遮断薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、筋弛緩薬、漢方薬などを使用しますが、すぐに効果は出ませんので、3-6か月かけて治療します。