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ボツリヌス療法

botox

ボツリヌス療法とは

ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌(食中毒の原因菌)が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。筋肉を緊張させている神経の働きを抑え、筋肉の緊張をやわらげることができます。
当院では、手足(上肢・下肢)の痙縮、眼瞼(がんけん)けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸、腋窩多汗症に対しボツリヌス療法を行っています。

治療について

治療を行うと効果は3日後くらいから徐々に現れ、2〜3ヶ月持続します。
症状が再発してきたらまた治療を繰り返します。1回の治療は5分〜20分で終わります。

脳卒中後遺症の痙縮に対するボツリヌス療法

脳卒中で半身麻痺になったとき、後遺症として痙縮という症状がみられることがあります。
手首は掌屈、手指や肘は曲がった状態で、足関節は伸びた状態(尖足)で硬くなってしまいます(下図参照)。筋肉がつっぱり、ピクピクと勝手に動いて止まるまで時間がかかることもあります。
日常生活では、衣服の着脱の妨げになり、歩行、車いすへの移乗にも障害となり、患者さんだけでなく介助者にとっても負担が大きくなります。この状態を放置すると、関節が固まり、拘縮という状態になってしまいます。そのためリハビリテーションでは筋肉、関節が固まらないようにマッサージして関節可動域の維持を目指します。しかし、関節の動きが固くなると、痛みが生じるため、リハビリが十分できなくなることもあります。

ボツリヌス療法の目的は、痙縮の原因となっている筋肉の緊張をとり、関節の動きを柔らかくすることです。複数の痙縮している筋肉に直接薬剤を注射します。効果は2〜3ヶ月続きますが、大切なことは効果が出ている間に充分リハビリを行うことです(つまりボツリヌス療法はリハビリを補助する治療という位置づけです)。 ボツリヌス療法は繰り返し行うことができます。効果が切れてきたら、また治療を行います。