認知症
dementia
認知症とは

認知症とは、様々な脳の病気や障害によって認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態の総称です。記憶障害、言語障害、視覚認知障害、実行機能障害などの症状が現れ、一度正常に発達した脳機能が徐々に減退していきます。主な病型には、アルツハイマー型認知症(50~55%)、レビー小体型認知症(15~20%)、脳血管性認知症(10~15%)があり、それぞれ異なる原因によって引き起こされます。
認知症の原因
4大認知症(アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症)が有名ですが、そのほかにも認知症の原因はたくさんあります。
まず、頻度は少ないが治せる認知症を診断するのが大事です。
治せる認知症は以下の疾患です。
- 慢性硬膜下血腫
- 正常圧水頭症
- 脳腫瘍の一部
- 甲状腺疾患などの内分泌機能異常
- 糖尿病性昏睡
- 脳膿瘍などの感染症
- 血清電解質異常
- ビタミン欠乏症
- 慢性アルコール中毒
- うつ病
- まれに髄膜炎
検査について
認知症の前段階である軽度認知機能障害(MCI)を早期に発見することが大切です
簡単な知能検査を行い、記憶力、注意力、遂行能力などを調べます。MRIで早期の変化が認められることもあります。また、リスクファクターのチェックも行います。血管性認知症の多くは脳血流障害(脳動脈硬化)を伴っていますので、その原因である高血圧、高脂血症、糖尿病がないかチェックし対策を立てます。
治療について
早期アルツハイマー病治療薬(レカネマブ、ドナネマブ)について
レカネマブ、ドナネマブという注射薬が開発され、実臨床でも使われるようになりました。認知症の進行を半年ほど先延ばしすることができるようです。適応が厳しく、希望すればだれでも治療を受けられるわけではありません。治療を行っている施設は限られていますので、ご相談ください。
日常生活で大事なことは、脳を使う生活をすることです

散歩、カラオケ、スポーツ(特に有酸素運動)は脳を活性化する効果があります。また、物事を計画し、実行する作業(たとえば料理をしたり、旅行に行ったり、芸術的活動をする)も前頭葉を活性化するといわれています。
認知症は進行する病気です
認知症の進行をゆっくりにするお薬は開発され、臨床で使われています。
当院では、お薬の治療は抗認知症薬のほか、行動心理症状(BPSD)に対する治療も行います。介護保険のサービスは、患者と介護する家族のために重要ですので、主治医意見書の作成を通じて介護サービスの導入をすすめています。ある程度進行し、徘徊、暴力といった症状が強い場合は、認知症専門病院と連携して治療していきます。