リーフレット みむら脳神経外科へ初めてご来院される方

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休診日 : 日曜日・祝日
初診の方は予約なしで受付致します。
再診、検査のある方は予約となります。
午後診療の最終受付は18:00までです。

頭痛について

頭痛

頭痛の患者さんは多く、3〜4人に1人は「頭痛持ち」ともいわれています。
頭痛といっても原因はさまざまです。突然の激しい頭痛を特徴とするくも膜下出血は重症の場合は生命に危機に至ることもあります。そのため、脳神経外科医としては頭痛を主訴に来院された患者さんに対して次のように考え、診療しています。

1.命に関わる頭痛の可能性を否定すること(2次性頭痛の鑑別)

くも膜下出血、脳腫瘍、水頭症、慢性硬膜下血腫、髄膜炎、硬膜下蓄膿、脳膿瘍などは命に関わるだけでなく、治療が遅れると後遺症を残す可能性もあります。神経学的診察に加え、必要であれば脳MRI、MRAを行い、診断します。

2.MRIで異常がなく二次性頭痛が否定的であれば、一次性頭痛として診断、治療

多くの場合、1次性頭痛の原因は、片頭痛、緊張性頭痛、風邪などの一症状、ストレス、環境要因が考えられます。女性の場合、月経周期に一致した頭痛、更年期障害に伴う頭痛があり、女性ホルモンの影響が考えられています。お薬の治療と、生活上の注意点を指導します。特殊なケースとして、薬剤依存性頭痛も鑑別する必要がありますので、詳細な服薬歴を参考にします。患者さんによっては漢方薬を使うことも考慮します。

一次性頭痛の場合は痛みの具合、頻度、薬の効きなど様々ですので、症状を詳しく聴取し、もっとも適切な治療法を提案したいと思います。

3.頭痛のちょっと詳しいお話

1次性頭痛のうち、頻度の多い緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛について解説します。なお、症状には個人差があります。

  1. 緊張型頭痛:肩凝り、首凝りから来る頭痛ですが、凝りを自覚していない患者さんもいます。症状は後頭部や、こめかみの重だるい、締め付けられるような痛みと表現されます。疲れてくる夕方に症状が出ることが多いのですが、睡眠中の姿勢が悪い場合は午前中から出ることもあります。頭痛がひどいと吐き気を催すこともあります。お仕事中の姿勢はいかがでしょうか。枕の高さが高すぎることはありませんか(握りこぶし1個分の高さが適切です)。睡眠をよくとって疲れをいやし、首、肩の運動をして血行を良くしましょう。パソコンを長時間使っていると、肩、首のみならず、目の疲れも加わり、頭痛の原因になります。30-60分ごとに休憩を入れ、首、肩の体操、マッサージなどを行うと効果的です。また、軽い有酸素運動や入浴は頭痛改善に効果的です。お薬の治療では消炎鎮痛剤、筋弛緩剤などの服用を行います。
  2. 片頭痛:20-40代の女性に多く、月経周期に一致して頭痛が起こることもあります。多くは、ズキンズキンとした拍動性頭痛ですが、締め付けられるような持続性頭痛のこともあります。体動などの振動で頭痛が悪化し、吐き気を伴うことがあります。光や音に過敏になり、暗い部屋でじっとしていたくなります。片頭痛には前兆を伴うこともあり、目がちかちかしたり、視界が暗くなったりすることがあります。片頭痛を誘発するものには、チョコレート、チーズ、アルコール、ナッツなどがあります。長年片頭痛で悩んでいらっしゃる患者さんはこのような誘発因子にも留意して生活することをおすすめします。頭痛時は冷たいタオルなどで額やこめかみを冷やすと効果的です。お薬は、トリプタン製剤の内服薬、点鼻薬のほか、消炎鎮痛剤、抗てんかん薬、抗うつ薬を使用します。また、予防薬として血管拡張薬、漢方薬を使用することもあります。
  3. 群発頭痛:片頭痛より頻度は少なく、男性に多いのが特徴です。1-2年に一度、1か月くらい、毎日一定の時間(夜中に多い)に片方の目をえぐられるような激しい痛みが生じ、転げ回るような激しさです。片頭痛がじっとしていたくなるのとは正反対です。目の充血、涙、鼻汁、鼻閉等の症状を伴います。治療としては高濃度酸素の吸入、トリプタン製剤の注射を行います。注射は自己注射キットもあります。ほかにトリプタン製剤の点鼻や内服、血管拡張薬の内服、抗うつ剤の内服を行うこともあります。トリプタン製剤の自己注射の指導も行っておりますので、ご相談ください。
  4. 片頭痛の新しい注射薬(CGRP関連抗体薬)について:

    片頭痛発症にCGRPという物質が関与することがわかり、その片頭痛発症機序をブロックするのが抗CGRP抗体薬、抗CGRP受容体抗体薬です。片頭痛予防薬として、抗CGRP抗体薬エムガルディ®、アジョビ®、抗CGRP受容体抗体薬アイモビーグ®という注射薬が一般診療で使えるようになりました。適応は、月に5日以上の片頭痛のある慢性片頭痛で、非薬物療法や、急性期薬物治療、予防薬で治療したにもかかわらず片頭痛発作のコントロールが不良な患者です。

    • エムガルディ®は初回月に2本皮下注射を行い、2月目以降は、1か月ごとに1本の皮下注射を行います。
    • アジョビ®は初回月から1か月ごとに1本の皮下注射、または3か月ごと3本注射を行う、という2通りの方法があります。
    • アイモビーグ®は初回月から1か月ごとに1本ずつ皮下注射を行います。

    これらのお薬は高額ですので、適応が厳しくなっています。3割負担の健康保険の方で、薬代が1本12,500-13,500円です。

    エムガルディ®は初回月27,000円、2月目から13,500円位かかります。

    アジョビ®は1本12,500円で1回3本使った場合37,500円位です。

    アイモビーグ®は毎月12,500円位です。

    3か月治療を行って効果がないと考えられる場合は中止になります。

    また、いつまで治療を継続するか、という点ではまだコンセンサスが得られていません。よって、頭痛の状態、他の片頭痛治療薬の使用状況など、総合的に考えて治療を継続するか考えます。

  5. 片頭痛急性期治療薬レイボーについて:                               新しい片頭痛性期治療薬レイボー®が発売されました。トリプタン系薬剤と異なり、ジタン系薬剤といわれるタイプです。血管収縮作用がないので、狭心症や心筋梗塞の既往のある患者さんに使用できるメリットがあります。頭痛発症から2時間くらいたって飲んでも効果があると言われています。ただ、服用後眠気が強い薬ですので注意が必要です。
  6. 薬剤乱用頭痛について:月の半分以上頭痛に悩まされていて、頭痛薬を月に10日以上飲んでいると、薬剤乱用頭痛に陥ることがあります。ひどい頭痛を何度か経験すると、頭痛への不安から早めの薬を飲むようになると、薬を飲む回数が増え、痛みに敏感になる(頭痛閾値の低下)ため、さらに頭痛薬を飲む頻度が増えていく、という悪循環になってしまいます。もとの頭痛は片頭痛と緊張型頭痛の混合型のことが多いです。原因薬剤は一般の消炎鎮痛剤、トリプタン系薬剤のことが多いです。原因薬剤の使用を減らし、可能なら中止するのが良いのですが、いきなり中止できないので、頭痛予防薬の使用の他、頭痛体操、十分な睡眠を指導します。頭痛予防薬には、血管拡張薬、交感神経遮断薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、筋弛緩薬、漢方薬などを使用しますが、すぐに効果は出ませんので、3-6か月かけて治療します。